鉄欠乏症と低血糖症~自律神経失調症を改善する知恵とコツ(自律神経編VOL.10)

自律神経失調症と間違えやすい「鉄欠乏症」と「低血糖症」について

こんにちは。すずらん鍼灸院の大島です。

前回、自律神経失調症と特に誤診されやすい症状として、「鉄欠乏症」「低血糖症」「更年期障害」「うつ病」の4つをご紹介しました。

これらの症状は、外見上の特徴が自律神経失調症とよく似ているため、誤診されやすい傾向にあります。

また、検査を受けても「異常なし」と判定されることが多く、身体の不調があっても原因不明とされることもあります。

そのため、適切な診断と対処が重要です。

今回は、その中でも「鉄欠乏症」「低血糖症」について、詳しく解説いたします。

鉄欠乏症とは?

「鉄欠乏症」という病名は、あまり聞き慣れないかもしれません。

しかし、実は多くの方が無自覚のままこの症状を抱えています。

貧血と混同されやすいですが、鉄欠乏症は貧血とは異なります

貧血は、血液の量が不足することで起こる症状ですが、鉄欠乏症は血液量が正常であっても、血液中の鉄分が不足することでさまざまな不調が現れるものです。

特に女性は、月経による鉄の消失があるため、鉄欠乏症になりやすい傾向があります。

これは自律神経失調症と間違えられることが多く、一般的な自律神経治療を受けても症状が改善しないケースが見られます。

鉄欠乏症の主な症状

  • 慢性的な疲労感
  • 頭痛やめまい
  • 息切れ
  • 抜け毛の増加
  • 爪が薄く、割れやすくなる
  • 気分の落ち込みや不安感

これらの症状がある場合、単なる自律神経の問題ではなく、鉄分不足が関係している可能性があります。

 

改善方法

鉄欠乏症の対策としては、鉄分を多く含む食事(レバー、赤身の肉、ほうれん草、大豆製品など)を意識的に摂取することが重要です。

また、ビタミンCと一緒に摂ることで鉄の吸収率が上がるため、レモンやブロッコリーなどと組み合わせるのも効果的です。

場合によっては、鉄剤の服用が必要になることもあります。

症状が続く場合は、医療機関で血液検査を受けることをおすすめします。

低血糖症とは?

低血糖症も、日本ではまだあまり知られていない病気ですが、潜在的な患者はかなり多いと考えられています。

「血糖値が高いと糖尿病になる」というのはよく知られていますが、「血糖値が低い=健康的」とは限りません

実際には、**血糖値が急激に上下する状態(乱高下)**が低血糖症の特徴であり、この変動が自律神経の乱れと似た症状を引き起こします。

低血糖症の主な症状

  • 強い疲労感や眠気
  • 集中力の低下
  • イライラや不安感
  • 動悸やめまい
  • ひどい空腹感

一見すると、自律神経失調症やうつ病と似た症状が多く、間違えられることが少なくありません。

なぜ発見が難しいのか?

低血糖症は、血糖値を測定したタイミングによっては正常値が出ることがあります。

そのため、1回や2回の血液検査では見つからないこともあるのです。

数回にわたって測定を行うことで、ようやく異常が発見されるケースもあります。

また、日本ではまだ低血糖症に関する認知が低いのですが、アメリカでは以前から注目されており、推定2000万人~4000万人の患者がいるといわれています。

日本でも、欧米型の食生活が普及しているため、同じように潜在的な患者が多いと考えられています。

改善方法

  • 低血糖症を改善するには、食生活の見直しが必要です。
  • 糖質の摂取を控える(特に白米やパン、砂糖を多く含む食品)
  • 食事の回数を増やし、血糖値の急変を防ぐ(1日5~6回の少量の食事を推奨)
  • たんぱく質や食物繊維を意識して摂取する(肉・魚・豆類・野菜など)

また、カフェインやアルコールも血糖値の乱高下を引き起こすため、できるだけ控えることをおすすめします。

 

まとめ

鉄欠乏症と低血糖症は、自律神経失調症と間違えられやすい病気の代表格です。

しかし、それぞれ原因が異なるため、適切な診断と対処が必要になります。

  • 鉄欠乏症は、鉄分不足による症状が特徴。特に女性に多く、食事での鉄分補給が大切。
  • 低血糖症は、血糖値の急変が引き起こす症状が特徴。糖質を控え、バランスの良い食事を心がけることが重要。

どちらの症状も、「自律神経の乱れかもしれない」と自己判断してしまうと、適切な対処が遅れてしまいます。

長く続く不調がある場合は、一度専門家に相談し、自分の体の状態をしっかり把握することが大切です。

適切なケアを行うことで、今よりもずっと健やかな毎日を過ごせるようになります。

お悩みの方は、ぜひ当院にご相談ください。



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